硝子体注射
黄斑に異常が起きる疾患として糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症、滲出型加齢黄斑変性などがあり、これには硝子体注射が有効です。硝子体注射には抗VEGF薬であるアイリーアやルセンティス、ステロイド薬のマキュエイド等が使われており、一度の注射で症状が改善する場合もありますが、定期的に注射をすることで高い効果が期待できます。
方法
注射3日前から感染症予防のための抗生物質を点眼し、当日は瞳孔を開かせる散瞳薬と麻酔を点眼します。その後、目の中と周りを消毒し、細い針で白目部分に硝子体注射を行います。
治療後
注射後にも感染症予防のための点眼と傷口を防ぐ軟膏を入れ、問題がなければそのまま帰宅して頂けます。帰宅途中は眼帯をしてもらいますが、数時間後には外して頂いて大丈夫です。治療効果は1週間ほどで現れます。注射当日は2時間ごとに抗生物質を点眼する必要がありますが、翌日以降は1日に4回を3日間行って頂きます。また、注射翌日は再度ご来院頂き、経過観察を行って必要に応じて再注射します。
硝子体手術
硝子体とは
硝子体は眼球内の大部分を占めるゼリー状の透明な組織で、視界の重要な部分になります。そのため、この硝子体が濁ったり、出血して炎症したり、網膜を引っ張ることで視力が大幅に低下する可能性があります。
硝子体手術の目的は疾患によって異なりますが、主に濁った硝子体や新生血管、病原菌を除去することです。
硝子体手術を要する疾患
硝子体出血
硝子体出血とは何らかの原因で出血した血液が硝子体内に流れ込み、溜まった状態です。出血が溜まった状態のままだと網膜まで光が届かずに対象物が見えにくくなるなど生活に支障をきたします。
糖尿病網膜症
糖尿病によって血糖値が悪い状態が続くと、網膜に集中する毛細血管が虚血を起こして出血や黄斑部に浮腫ができる病気で、視力低下に繋がります。悪化すると脆い新生血管が出現し、更なる出血や網膜剥離を引き起こします。網膜剥離
網膜と硝子体に強い癒着がある場合、硝子体の液化や牽引により網膜に裂け目ができます。
硝子体が液状化してしまうと隙間が生まれ、その隙間から水分が入り込むことで網膜剥離を引き起こします。網膜剥離は悪化すると失明の危険性もある重篤な疾患です。

網膜静脈閉塞症
網膜には静脈が集中しており、高血圧症や動脈硬化が原因で閉塞してしまい、血液が漏れ出すことによって黄斑部に浮腫ができたり眼底出血を引き起こします。この病気を網膜静脈閉塞症と言います。主な症状としては物が歪んで見える、視力低下、視野欠損があり、放置すると硝子体出血や血管新生緑内障、網膜剥離を合併することがあります。手術
硝子体手術では点眼麻酔と局所麻酔を行うので痛みがほとんどなく、手術自体は疾患により差異はありますが30~60分程度で完了します。(難症例の場合は2時間を超えることがあります。)近年の医療技術の発達により、安全なものになり、会話しながら手術を受けられるようになりましたが、再発リスクはゼロではありません。また、感染症や網膜剥離などの合併リスクもあり、その場合は再手術を行います。費用
70歳未満の方(3割負担)
| 手術費用 | 約150,000円 |
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70歳以上の方
窓口での上限があるので以下のようになります。
| 手術費用 | 1割負担の方・・・14,000円 3割負担の方・・・57,600円 |
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網膜の中心部である黄斑部に孔が開く病気で、視野の中央が見えなくなって視力低下を引き起こします。早期発見・早期治療で視力の回復が期待できます。
黄斑部やその周辺、網膜の後極部に膜が張り、膜が収縮することで歪みや視力低下を引き起こす病気です。