「最近まぶたが重い気がする」「コンタクトを長く使っているけど関係ある?」
このようなご相談は、眼科外来でも年々増えています。
実際に、コンタクトレンズの長期使用、とくにハードコンタクトレンズ(HCL)の使用は、眼瞼下垂(がんけんかすい)の一因になることが知られています。若い世代でも起こりうるため、「まだ年齢的に大丈夫」と思っている方も注意が必要です。
眼瞼下垂はゆっくり進行することが多く、初期には単なる疲れ目や加齢変化と見過ごされがちです。しかし進行すると視界の妨げや慢性的な肩こり・頭痛につながることもあります。
この記事では、コンタクトレンズと眼瞼下垂の関係、起こるメカニズム、セルフチェック、受診の目安、予防策、治療法までを眼科医の視点で詳しく解説します。コンタクトを日常的に使用している方は、ぜひ一度ご自身のまぶたの状態を確認してみてください。

眼瞼下垂とは?
眼瞼下垂とは、上まぶたが本来の位置より下がり、黒目(角膜)にかかってしまう状態を指します。見た目の変化だけでなく、視界が狭くなるなどの機能的な問題を
伴うこともあるため、医学的な評価が重要な疾患です。
まぶたは「眼瞼挙筋」と「ミュラー筋」という筋肉によって持ち上げられています。これらの筋肉、あるいは筋肉の先端にある腱膜がゆるんだり外れたりすると、十分にまぶたを持ち上げられなくなり、眼瞼下垂が生じます。
・まぶたが重い・開けにくい
・目が小さく見える
・眠そうに見られる
・額にシワを寄せて目を開ける癖がある
・上方視野が狭く感じる
・夕方になると目の疲れが強い
原因は先天性、加齢、外傷、神経・筋疾患など多岐にわたりますが、近年外来で増えているのがコンタクトレンズ長期使用に関連した後天性眼瞼下垂です。
コンタクトレンズで眼瞼下垂になる理由
「コンタクトで本当にまぶたが下がるの?」と疑問に思う方も多いですが、臨床的には関連が指摘されています。
コンタクト使用者のまぶたには、日常的に以下のような微細な機械的ストレスが加わっています。
・装着時・取り外し時にまぶたを引き下げる動作
・瞬きのたびに起こるレンズとまぶた裏の摩擦
・上まぶたでレンズ位置を調整する無意識の動き
・長時間装用による慢性的刺激
これらが何年、何十年と積み重なることで、挙筋腱膜が徐々に伸びたりゆるんだりし、結果として眼瞼下垂を引き起こすと考えられています。
眼瞼下垂は突然起こるというより、長期間の小さな負担の積み重ねによって徐々に進行するケースが多いのが特徴です。
ハードコンタクト使用者が特に注意すべき理由
コンタクトレンズの中でも、眼瞼下垂との関連が強いとされるのがハードコンタクトレンズ(HCL)です。
・レンズが硬く、瞬き時の摩擦が大きい
・上まぶたでレンズ位置を調整しやすい構造
・装用歴が長期(10年以上)になりやすい
・着脱時にまぶたを大きく引く必要がある
特に、若い頃からハードコンタクトを長年使用している方では、40〜50代で眼瞼下垂が顕在化するケースも少なくありません。
一方、ソフトコンタクトでもリスクがゼロではありません。長時間装用や誤った着脱習慣がある場合は、同様に注意が必要です。
セルフチェック|こんな症状は要注意
初期の眼瞼下垂は自覚しにくいため、以下のポイントをセルフチェックしてみましょう。
・以前より目が開けにくい
・夕方になるとまぶたが重い
・片目だけ小さく見える
・コンタクトが入れにくくなった
・無意識に額に力を入れている
・写真で左右差を指摘された
スマートフォンの自撮りで、黒目にかかるまぶたの量を左右で比較すると、早期変化に気づきやすくなります。昔の写真と見比べるのも有効です。
放置するとどうなる?進行リスク
軽度の段階では見た目の変化が中心ですが、進行すると日常生活への影響が出てきます。
・視野の上方が見えにくくなる
・慢性的な眼精疲労
・頭痛・肩こり
・額の深いシワの固定化
・左右差の悪化
また、見えにくさを補うために無意識に額の筋肉を使い続けることで、慢性的な疲労感や集中力低下につながることもあります。
コンタクト使用を継続している場合、気づかないうちにゆっくり進行することがあるため、違和感を覚えた段階での評価が大切です。
コンタクト使用者ができる予防法
眼瞼下垂を完全に防ぐことは難しいものの、まぶたへの負担を減らす生活習慣は非常に重要です。
・着脱時にまぶたを強く引っ張らない
・長時間装用を避ける
・メガネ併用日を作る
・乾燥対策(ドライアイ治療)を行う
・定期的に眼科検診を受ける
特に10年以上ハードコンタクトを使用している方、または左右差を感じ始めた方は、一度専門的な評価を受けることをおすすめします。
眼瞼下垂の治療方法
治療方針は、まぶたの下がり具合、視界への影響、見た目の希望などを総合的に評価して決定します。
■ 軽度の場合
・経過観察
・コンタクト使用方法の見直し
・ドライアイ治療
■ 視界に影響がある場合
まぶたの機能低下が明らかな場合は、手術による改善が可能です。
・保険適用の眼瞼下垂手術
・見た目も考慮した自費手術
当院では、眼科的な機能評価と形成外科的な審美バランスの両面から診察を行い、患者様一人ひとりに適した治療をご提案しています。
よくあるご質問(Q&A)
Q. コンタクトをやめれば治りますか?
軽度の場合は進行予防につながることがありますが、すでに腱膜のゆるみが生じている場合、自然に元へ戻ることは多くありません。状態に応じた評価が重要です。
Q. 片目だけ下がることはありますか?
あります。コンタクトの扱い方の癖や利き目の影響で、左右差として現れるケースは珍しくありません。
Q. 若くても手術が必要になることはありますか?
年齢に関係なく、視界に支障が出ている場合は手術適応となることがあります。まずは専門医の診察を受けましょう。
当院では眼瞼下垂の手術も対応しております。お気軽にお問い合わせください。
まとめ
コンタクトレンズ、とくにハードコンタクトの長期使用は、眼瞼下垂の一因になることがあります。
「年齢のせい」と思っていたまぶたの変化が、実はコンタクトによる影響だったというケースも少なくありません。
✔ まぶたが重い
✔ 目が開けにくい
✔ 左右差が気になる
このような症状がある方は、早めの眼科受診をご検討ください。

