白内障手術で選べる眼内レンズには、単焦点から多焦点、その中でも回折型やEDOF(焦点深度拡張型)など様々なタイプがあります。
その中で近年注目されているのが、国内メーカーHOYAより発売されたジェメトリック(Gemetric)シリーズです。
多焦点眼内レンズで純国産のレンズはこちらのみになっており、製造元の安心感があります。
ジェメトリックは遠方から中間距離までのバランスに優れた設計で、
日常生活での自然な見え方を重視する方に選ばれます。
一方、ジェメトリックプラスは近方視力を強化した回折型レンズで、左右眼にそれぞれを入れることで役割分担を行い
遠近のバランスを維持しつつ近距離も快適に見えます。
この記事では、ジェメトリックとジェメトリックプラスの特徴、メリット・デメリット、他レンズとの比較、費用、後悔しないための選び方について詳しく解説します。
目次
1. ジェメトリックとは?特徴と仕組み
ジェメトリックは、2024年に国内レンズメーカーHOYAより誕生した3焦点の回折型多焦点眼内レンズで、遠方から中間距離までの自然な見え方を重視した構造です。
光学設計により焦点が連続的に広がるため、日常生活での違和感が少なく、特にパソコン作業や会議など中間距離での視認性が高いのが特徴です。
また、回折構造経が他レンズより狭いため周辺が単焦点構造をしています。そのため夜間の運転でもハローグレアが起きにくいのが強みと言われています。

遠方から中間距離にかけての自然な見え方をサポートし、日常生活で快適な視界を提供します。
2. ジェメトリックプラスとは?従来型との違い
ジェメトリックプラスはジェメトリック同様、回折型設計を採用したレンズです。
ただ、ジェメトリックプラスは光の配分量を近方へリバランスし、近距離視力を重視した多焦点レンズです。
これを左右眼に分けて選択することで、遠方~中間距離はジェメトリックでカバーし、近距離はプラスで補う左右分担型の組み合わせが可能です。
この方法は、ペアリングと言われており、他レンズとしてはイタリアのSIFI社より開発されたミニウェルというレンズに共通しています。
※ミニウェルはEODF(焦点深度拡張型)レンズのためレンズ構造やメリット・デメリットが異なります
このため、日常生活で遠近両方のバランスが取りやすく、読書やスマホ操作など近方作業にも快適に対応できます。
3. 左右での役割分担とバランス視力
左右でジェメトリックとジェメトリックプラスを組み合わせることで、各レンズの得意距離を活かせます。
・片眼:遠中重視(ジェメトリック)
・片眼:近方重視(ジェメトリックプラス)
一般的には優位眼(利き目)が遠方寄りの見え方のほうが順応しやすいといわれていることから、優位眼をジェメトリック、非優位眼にジェメトリックプラスを選択することで単眼での弱点を補い、両眼で自然な見え方を得られます。

4. メリット
- 遠中距離と近距離のバランスが良い
- 左右で役割分担できるため視覚疲労が少ない
- 夜間運転や薄暗い場所でも見やすい
- 自然な見え方で眼鏡依存を減らせる
5. デメリット・注意点
- 30cm以下の極近距離は眼鏡補助が必要になる場合あり
- 左右でレンズの種類が異なるため違和感を感じる方もいる
- 選定療養対象のため追加費用が必要
- まれにハロー・グレアが生じることがある
6. 他レンズとの比較
| レンズ名 | 特徴 | 近方視力 | 中間視力 | 夜間の見え方 |
|---|---|---|---|---|
| PanOptix | 3焦点型。全距離対応 | ◎ | ◎ | 〇~△ |
| Vivity | EDOF型。遠中距離に強い | △ | ○ | ◎ |
| ジェメトリック | 遠中距離重視 | 〇 | ○ | 〇~△ |
| ジェメトリックプラス | 近方重視の回折型。左右で組み合わせ可 | ◎ | ○ | ○ |
7. 適応条件とおすすめの患者像
- 日常的にパソコンや会議など中間距離作業が多い方
- 読書やスマホ操作など近距離も快適にしたい方
- 夜間運転や薄暗い場所での見やすさを重視する方
- 左右でレンズを組み合わせて自然な視覚を得たい方
8. 選定療養と費用
ジェメトリックシリーズは選定療養対象です。
白内障手術の基本費用は保険適用で、レンズ差額分のみ追加負担となります。
当院費用
・片眼:290,000円(税込)
・トーリックタイプ:330,000円(税込)
左右で組み合わせる場合も追加費用は同額です。
9. 後悔しないためのチェックポイント
- 近距離作業をどの程度重視するか
- 左右で異なるレンズを受け入れられるか
- 眼鏡併用の可能性を理解しているか
- 費用と利便性のバランスを納得しているか
10. 当院での検査とカウンセリング
1. 視力・角膜形状・眼底の精密検査
2. 生活スタイルや希望のヒアリング
3. ジェメトリック・ジェメトリックプラスを含む複数レンズの比較説明
4. 乱視がある場合はトーリック適応を検査結果に基づき提案
11. よくある質問(Q&A)
Q1. ジェメトリックとジェメトリックプラスは両方必要ですか?
A. 生活スタイルに合わせて左右で組み合わせることで、遠中近すべての距離をバランスよく補えます。
Q2. 近方はどの程度裸眼で見えますか?
A. プラス側のレンズで近距離補助されますが、30cm以下では眼鏡が必要になる場合があります。
Q3. 夜間運転は大丈夫ですか?
A. 遠中距離に優れ、ハロー・グレアも少なく快適と言われていますが、個人差がございます。
Q4. 費用はどれくらいですか?
A. 片眼290,000円(税込)、トーリック330,000円(税込)です。
Q5. トーリックは自分で選べますか?
A. 検査結果に基づき、医師と相談の上で最適なレンズを選択します。
12. まとめ
ジェメトリック・ジェメトリックプラスは、左右で組み合わせることで遠方~近距離までバランスの良い視力を提供する多焦点眼内レンズです。
日常生活での自然な見え方を重視する方や、パソコン作業や読書など近距離作業も快適にしたい方におすすめです。
当院では片眼290,000円/トーリック330,000円(税込)でご案内可能で、生活スタイルに合わせた最適なレンズ選びを経験豊富な医師がサポートいたします。
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